#26 3/25 東京カップ 2次戦 準決勝 FC KOREA vs 東京23FC
格上の実力を見せつけられるも、値千金の決勝ゴール
東京23FCらしい、細かくパスを繋ぐサッカーが見え始めていた。しかしKOREAレベルのチームは、相手の一瞬の隙を確実に突いてくる。後半16分、東京23FCは自陣ペナルティエリア手前で味方同士がお見合いをしてしまう。瞬時にボールを奪われシュートを許す。クロスバーに当たり失点こそ免れたが、KOREAはわずかな隙も見逃さないと、強烈に印象づけられる場面だった。ピンチは続き、21分には右サイドを抜け出されるもGK平川正城がブロックした。米山監督もKOREAの実力を認める。
「これまでは、何となく守れていた部分もあった。でも、今日はミスが失点に直結するという事を教えられた。」
ピンチを耐えた東京23FCが、遂に1点を奪う。25分、右サイドでのスローインを小林が落とし、田村がスペースに抜け出す。深く抉ってグラウンダーのボールを送ると、中央で待っていたのは山本恭。エースストライカーが冷静に蹴り込み、先制に成功した。ベンチへと走る山本恭をチームメイト達が囲み、歓喜の輪ができた。
失点を覚悟しなければならない場面がいくつかあった。しかし、それらを防ぎきったことで、試合終盤は相手にチャンスを作らせなかった。対人プレーに強く、速く鋭い攻撃を持ち味とするKOREAに対して一歩も引かなかった。後半途中から敵陣で見せた、相手のプレスをいなすパス交換には余裕も感じられた。そして、タイムアップのホイッスルが鳴る。試合は日々進化している東京23FCが、1-0で勝利した。
試合後に米山監督が「1戦1戦成長している」と話したように、選手達は着実に進歩を見せている。その上で、勝利も掴んでいる。「勝って学ぶ、反省することができている」と米山監督が振り返るように、チームは非常に良いサイクルの中で大会を戦っている。
また監督は、選手達のことも信頼している。「どの選手が出ても、仕事ができる。今日の小林についても、スタメンで使うことに恐れはなかった」。KOREAのような強いチームを相手にしても、「なりふり構わず、ただ勝ちにいくのではなく、自分達の持ち味をしっかり出して勝とう」と挑み、勝利を手にした。
米山監督も認めるように、KOREAはこれまでの相手とは一線を画すチームだった。後半は東京23FCが主導権を握っていたが、KOREAは大崩れしていなかった。黄永宗選手兼監督も、「ボールを回されていても最後の所は崩されてはいなかったし、自信を持って守っていた」と振り返る。どちらに転んでもおかしくない試合だった。ただ、こうした接戦をモノにできる強さが、東京23FCにはあると言える。
次はいよいよ決勝戦。今シーズン、最初のタイトルを全力で取りに行く。ファイナルの相手は、個々が高いテクニックを備える三菱養和サッカークラブ。昨シーズンまで東京都社会人サッカーリーグ1部で戦い、ともに関東社会人サッカーリーグ2部に昇格した2チームが、天皇杯 東京都予選 社会人代表の座を掴む事となった。
(了)