#23 3/17 J1 第2節 FC東京 vs 名古屋グランパス
『東京偉蹴的 MATCH OF THE WEEK』 #23
またしても停滞の前半、後半の逆襲。“開幕連勝”FC東京の課題と収穫
3/17(土)19時 味の素スタジアム
2012 Jリーグ ディビジョン1 第2節 FC東京 3-2 名古屋グランパス
名古屋の圧力に対応できず
「今日の結果はこれ以上ない結果だったんですけど……」
Jリーグ第2節、FC東京VS名古屋グランパス。後半の3ゴールで一昨季のリーグ王者を逆転で撃破し、“ポポ・トーキョー”は開幕連勝と最高のスタートダッシュを切った。ただ、試合後の会見でランコ・ポポヴィッチ監督が切り出したのは、大宮戦と同じ課題だった。
「私が理解できないのは、なぜ後半のプレーを前半の最初からできなかったのかだ」。
前半のFC東京は、高さと前面に出した名古屋らしいスタイルに、完全に後手に回ってしまった。自らのビルドアップでミスしてバタついたものの、前半30分以降は落ち着きを取り戻した大宮戦以上に苦慮していた。不動の右サイドバック、DF徳永悠平はゲームプランの“読み違い”に原因があったと見ている。
「名古屋が最初から圧力をかけて出てくるとは、予想していなかった。ラインを下げてブロックを作ってくる感じだと思っていたので」。
前半6分、セットプレーからの右サイドのシンプルなクロスを、前線に上がった闘莉王に折り返されたところを中央の永井が拾ってシュートを放つ。権田が何とかセーブしたが、そこから名古屋に主導権を奪われてしまう。
MF羽生直剛は、より具体的に自分たちの課題点、そして相手の狙いを語った。
「(フィジカルに優れる名古屋が圧力をかけてきたわけだが)自分たちが圧力をかけようとしても、ロングボールでいなされちゃう感じだった。それで結局前で収まっちゃって、という。」
シンプルな縦パスを最前線のFWケネディに当て、2列目のスピード豊かなFW永井謙佑やFW玉田圭司らの飛び出しを発動する。名古屋の基本的なスタイルである。また相手の十八番であるセットプレーでは、DF田中マルクス闘莉王、増川隆洋ら長身の選手をゴール前に張り付かせた空中戦に難儀した。何とか跳ね返したとしてもセカンドボールを拾われることで、再びラインを押し下げられ、劣勢が続いた。FC東京は縦の速いパスでカウンターを狙っても、スリッピーなグラウンドによるトラップ、パスのズレを起こしてしまい、単発な攻撃しか出せない。
その悪い流れが中盤での寄せの甘さにもつながっていく。顕著となったのは36分の失点の場面である。名古屋のMF吉村圭司とケネディのパス交換にプレッシャーがかからず、本来はパス出し役ではないはずのケネディにスペースへのスルーパスを許し、オフサイドラインぎりぎりを飛び出した玉田に落ち着いて決められてしまった。この場面をポポヴィッチ監督はどのように見つめていたのだろうか。
「背後を取られて、(玉田に)抜けて取られたものですが、その前の(吉村とケネディのパス交換の)状況で、ウチは明らかに数的優位だったわけです。一番の問題はボールの出所を押さえられなかったこと。中盤でボールを持っている時に、ウチの選手は周りに4人いたのに、誰もマーク、プレッシャーに行かない状況を作ってしまったことです。」
羽生も「前半に関しては相手をリスペクトし過ぎた。攻守両面で勇敢に、アグレッシブに戦う姿勢が少し足りなかった」と語るように、プレーに対する責任感が曖昧なまま招いてしまった結果と言わざるを得ない。そんな状況でも、名古屋のストイコビッチ監督が「2点目を取っておくべきだったが、それが遠かった」とコメントしたように、0-1で前半を折り返せたことはラッキーだった。