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#20 2/19 東京カップ 準々決勝 東京23FC vs 東京蹴球団

『東京偉蹴的 MATCH OF THE WEEK』 #20


“辛くも勝利”となった東京23FC・米山篤志監督の初采配

2/19(日)9時30分 品川区大井第二球技場
東京都社会人サッカーチャンピオンシップ(東京カップ)
1次戦 Aブロック 準々決勝
東京23フットボールクラブ 4-3 東京蹴球団

この日が初戦となった関東リーグ2部の東京23フットボールクラブは、都リーグ2部の東京蹴球団との対戦となった。先週、東京蹴球団は後半に攻撃力が爆発し、7ゴールを奪った。攻めるチャンスがあれば、東京23FC相手にジャイアントキリングを起こす可能性もあるかもしれない。そして迎えた試合は、東京23FCがポゼッションをしながら試合を進める。東京蹴球団はボールに触れず、ワンサイドゲームの予感が漂った。

“攻めるチャンスがあれば”と書いたが、この時点で東京蹴球団にそのチャンスは訪れそうになかった。

東京23FCは、MF猪股聖哉が中盤でパスを散らし、MF田村聡が右サイドに流れてチャンスを作る。FW山本恭平は、楔を捌きながら虎視眈々とゴールを狙う。東京23FCのゴールは時間の問題かに思えた。しかし、ポゼッションとゴール数が比例しないのがサッカーというスポーツ。ボールを持つ時間が短くても試合を動かせる。そのことを、東京蹴球団が証明する。

21分、右サイドからのクロスがゴールに向かって飛んでいく。GKが必死にジャンプし、手を伸ばすもボールに触る事ができない。ネットが揺れ東京蹴球団が先制した。23分には、東京23FCのバックパスを奪うと左に展開。MF伊藤謙介がドリブルで相手を交わして放ったシュートは、GKの脇をすり抜けてゴールイン。それまでほとんどボールに触れなかった東京蹴球団が、わずか2分間で2点を挙げた。この2点で勢いづき、ボールへの寄せも速くなった。パスも繋がるようになった。1:9に近かったポゼッション率を、4:6ほどに戻した。

対する東京23FCは焦りを見せる。細かいパスではなく後方からのロングボールで一発を狙う場面が増えた。35分ハーフの前半は、0-2で終えた。東京蹴球団は、3本のシュートで2点を奪う効率的な攻撃を見せた。

後半開始7分間で3ゴールと一気にひっくり返すが、終盤まで縺れる展開に…

後半、東京23FCが反撃の1点を奪う。相手ディフェンダーが目測を誤ったところを山本が拾い、GKとの一対一を制した。開始1分に満たない時間で決めた電光石火のゴールだった。息を吹き返した東京23FCは、5分にも山本が左足で決め同点とする。そして攻撃はまだ止まらない。7分、右サイドからDF渡邊敬人のクロスをファーサイドで合わせたのはDF山村和士。両サイドバックで挙げたゴールで、遂に東京23FCが逆転に成功した。

しかし、東京蹴球団も食い下がる。9分、左サイドから仕掛けると、ゴールライン手前から折り返す。これをきっちり合わせて再び同点となった。“第1回 天皇杯 優勝チーム”の古豪クラブが必死に食い下がる。ただ、最初から最後まで主導権を握っていたのは東京23FC。ポゼッションとゴール数は必ずしも比例しないが、ポゼッションしている側に得点チャンスが多いのも事実だ。

試合終了でPk戦に突入か、と観ている者が考え始める中、最後に東京23FCが試合を決めた。試合終了間際の34分、ゴールほぼ正面でFKを得ると、猪股が右足を柔らかく振る。コースを狙う事を第一に考えて放たれたボールは、ゴール左に吸い込まれていった。昨年は全国社会人サッカー選手権大会を制し、今シーズンから関東リーグを戦う東京23FCが追いつめられた。最後まで試合の行方が読めなかったのは、間違いなく東京蹴球団の粘りがあったからだ。4-3で終わったこの試合に、裾野の広い東京都サッカー界の一端を見た。

(了)

(試合後の東京23FCの監督・選手コメントは2ページ目に続く)

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