#6 9/10 関東リーグ1部 後期 第5節 FC KOREA vs さいたまSC
後半、徐々に流れはFC KOREAへ
後半に入って数分間はさいたまSCの時間帯が続いたが、まもなくFC KOREAが主導権を握ることになる。前半と大きく違った点は、中盤のMF李智星やMF朴世訓にようやくボールが収まり始めた事。
これによりサイドハーフのMF権載龍やMF皇甫永実を効率良く利用できるようになる。前線ではFW姜豪が精力的に動いて注意を引きつけ、中盤からサイドへ展開して前進し、折り返しからゴールを狙った。
しかし形としてはスマートだったが、そこからが続かない。これはさいたまSCを褒めるべきなのだが、さいたまSCは決してゴール前にスペースを作らせなかった。FC KOREAがどれだけ相手守備を引きつけようと試みてもその守備ブロックが崩れることはなかった。
後半33分、FC KOREAは権載龍が左サイドを抜け出して中央へ折り返す。マイナス方向へ送られたそれは皇甫永実がフリーで捉えた。しかし皇甫永実は足元でコントロール出来ない。ボールは天高く舞い上がった。
FC KOREAの反撃が激化する一方で、さいたまSCは完璧なまでに守備的な布陣を敷いていた。太陽は地平線に着地体制をとっており、そよ風が天然の空調となっている。余裕をもって守備を固めるさいたまSCを崩すことなく試合終了を迎えた。
課題を浮き彫りにしたから、次が楽しみ
「中盤でボールを繋ぐんだけど単純なミスで取られてしまう。中盤で取られてしまって、そこから先に進めなかったのは今日の課題となりました。残り2試合、特にY.S.C.C.戦は胸を借りるつもりで挑みたい。去年(リーグ3位)より上を目指していて今日は勝てなかったですけど、Y.S.C.C.さんには去年(2敗と)勝たせてもらえていないので、良い試合をしたいなと思います。累積や怪我でメンバーが足らなくなるとは思いますが、出れるメンバーが頑張ってくれると思います。」(李清敬監督)
FC KOREAと言えばハイプレスとパスサッカー。1点を取られても自らのスタイルを貫き通した。李清敬監督は今日出場した選手らに対して「若いんだからもっと積極的にプレーしてほしいね」と苦笑いを浮かべていたが、この日の試合は仕掛け続けた結果の敗戦だった。元々攻撃的なサッカーをするチームだから尚更そう見えたのかもしれない。挑戦するから失敗があり、失敗の原因がはっきりしているから次が楽しみになる。
監督は更に「課題が見えるからわかりやすくていいでしょ。次はこうすればいいっていうのが明確になっているから。」と続けた。確かにそうだ。敗戦とは思えないくらい、この試合からは次節Y.S.C.C.戦に向けての好感触を感じられた。
※地域決勝「補充枠」レギュレーションの補足説明
全国地域サッカーリーグ決勝大会には12チームを揃えるための「補充枠」が存在する。例年は各地域リーグの登録チーム数の多い順にそれが割り当てられ、関東1部は毎年のように2チームが出場していた。しかし昨年からはこのルールが変わっている。
「補充枠」の存在と登録チーム数順という点では代わりがないのだが、これが各地域リーグをローテーションする事になった。昨年がそのルール適応の1回目だった為、補充枠として関東2位のさいたまSCが出場し、一巡目となる関東の補充枠は消費された。今年以降は、地域決勝で補充枠が必要になった場合、次に登録チーム数が多い関西地域、九州地域の順にそれが適応される事になる。
(著者プロフィール)
龍星ひかる(りゅうせい・ひかる)
1985年、岐阜市出身。2005年に上京後、2008年からはJFLや地域リーグなど社会人カテゴリの魅力に惹かれ、ブログ『ここからJリーグ』にて観戦レポートを執筆。主な寄稿先にブログメディア『SPORTS PLANET』がある。