
#5 9/4 J2 第4節 ジェフユナイテッド千葉 vs 東京ヴェルディ
残り15試合。間に合うか。
アウェイにもかかわらず敢然と勝点3を獲りにいき、ゲーム内容も上回っていた東京Vにとっては痛い引き分けだ。勝点1を上積みし、3位との勝点差は1ポイント詰めたが、順位は8位のまま変わらず。上位が軒並みもたつき、混戦の様相を呈する中、お付き合いをしてしまっては追撃もままならない。
明るい兆しはいくつかある。6月29日の第2節・愛媛FC戦を最後に故障で戦列を離れていたキャプテンの富澤清太郎が、約4ヵ月ぶりに復帰した。
「大げさに聞こえるかもしれないけれど、命懸けの覚悟で臨んだ試合です。急きょチャンスをもらって、絶対に勝点3を奪ってやろうと。自分ひとりで相手全員まとめて面倒を見るぐらいの気持ちだった。ところが、前半はどうも違和感があって、ヘディングのタイミングも全然合わなかった。そこで祥平には悪いとは思ったんですが、ポジションを入れ替えていつもの左(センターバック)でやらせてもらいました。結局、引き分けで終わってしまい、自分の未熟さを感じています。今日はたくさんのサポーターが駆けつけてくれてうれしかった。でも、勝点1だったのに拍手で迎えられたのは、自分としては腑に落ちません。そういったことも含め、すべて課せられた責任だと思い、次にぶつけます」
試合中、高橋と小林が激しい口調で言い合う場面があった。
「ディフェンスの場面で自分の要求と祐希の考えが食い違っていたんです。お互い熱くなってしまったけど(笑)、あのあと冷静に話し合って解決しています」(高橋)
「試合の中では引いてはいけない場面がある。チームが勝つためには自分を出さなければいけないので、そこは絶対に引かないと決めていました。対等に立つには、自分が言い返せるだけのプレーをしていればいい。今日は勝てなかった。とにかく悔しい。それだけです」(小林)
選手たちが己の主張を露わにし、ひたすら勝利に向かってベクトルを合わせていく。その先に成熟したチームの姿がある。若い選手の多い東京Vにあっては歓迎すべき傾向だ。
残り13試合。いよいよ瀬戸際である。シーズンの半ばを過ぎ、東京Vはワンランク上のチームになりつつあるが、昇格戦線に食い込むのが間に合うかどうか。指先が届きさえすれば、一気に差し切るだけの力はある。
(了)
<9/4終了時のリーグ順位>
1位 勝点42 FC東京
2位 勝点42 栃木SC
3位 勝点41 徳島ヴォルティス
4位 勝点40 ジェフユナイテッド千葉
5位 勝点40 コンサドーレ札幌
6位 勝点39 サガン鳥栖
7位 勝点36 ギラヴァンツ北九州
8位 勝点33 東京ヴェルディ
(著者プロフィール)
海江田哲朗(かいえだ・てつろう)
1972年、福岡県生まれ。獨協大学卒業後、フリーライターとして活動。東京ヴェルディに軸足を置き、日本サッカーの現在を追う。主な寄稿先に『季刊サッカー批評』『週刊サッカーダイジェスト』『週刊サッカーマガジン』『スポーツナビ』など。