TOP>>コラム>>FOOT ISSUE>> #14 東京は冬にフットボールシーズン到来を告げる!?
footissue

#14 東京は冬にフットボールシーズン到来を告げる!?

~青梅FC~ 新システムを自分達のモノにできるか?

青梅市の選抜チームであるOFAとの青梅ダービーを制し、青梅FCが勝ち上がった。昨シーズンの東京都リーグ1部・王者が先制を許す展開となったが、結果は3-1の逆転勝利。キャプテンのMF福井は「課題が見えて良かった。ここからしっかりやっていく材料になる」と、ポジティブに捉えていた。

年明けから挑戦中という新システム3-4-3では、福井は『4の右』を務めている。「まだサイドは慣れない部分がある」と言う。豊富な運動量を活かして縦への推進力も見せていた。それでも、「まだ上がっているだけの部分はある。タイミングをもっと追求したい」と、更なる成長を目指している。

そして今季もエースは健在だ。1-1と同点に追いついた直後、FW岩田朗が決めた逆転弾は“ゴラッソ”と呼ぶに相応しいものだった。フィードを一度は収め損ねるも、すぐ相手ディフェンダーと入れ替わり左足を一閃。逆サイドのポストに当たりながらも豪快に決まる。「狙っていないですよ(笑)本当に何となく」という感覚派FWの岩田。リーグ屈指のストライカーは、今シーズンも抜群の嗅覚で、度肝を抜くようなゴールを見せてくれそうだ。

昨年の関東社会人サッカー大会・準決勝では、後一歩の所で関東リーグに手が届かなかった。埼玉・熊谷まで駆けつけたサポーター達に、試合後の挨拶をした直後、福井は崩れるように地面にうずくまり、号泣し続けた。青梅FCがどれほどの想いで関東リーグ昇格を目指していたか、会場に居合わせた全ての人が感じ取った。

今シーズンの目標も当然同じだが、「近くて遠い感じです」と福井は関東リーグまでの距離をこう表現した。手が届く寸前だっただけに、悔しさも大きかった。「リーグを勝ち抜く事も大変」という岩田の言葉通り、関東大会の出場権獲得の為には、まずはリーグ上位に入ることだ。今シーズンも青梅FCは優勝候補の筆頭だが、油断をすれば足をすくわれる。関東リーグという高みを見据えつつ、まずは現実の戦いに集中しなければならない。

~早稲田ユナイテッド~ 一人ひとりの上積みをチームの力に

冬の夜の駒沢補助競技場で波乱が起きる。昨年の都1部リーグ2位・早稲田ユナイテッドが、都2部のHBO東京に逆転負けを喫した。試合後、早稲田の今矢直城監督は「サッカーは甘くない」と話した後、こう続けた。

「皆がどれだけ準備してきたかは分からないけど(今日戦えるメンバーが)11人揃っていたとは思わない」

前後半とも早稲田のやりたいサッカーは出来ており、今矢監督もそこは評価している。スピードに乗りながら速いテンポでパスを繋ぐ姿は早稲田の真骨頂。加えてこの日は、3トップの左右がFW中島健太とFW松井亮太という際立った『個』の持ち主だった。彼らにボールが渡ると、何かが起こりそうな雰囲気が漂う。特に中島のドリブルはキレており、左サイドを何度も切り裂き、チーム2点目も挙げている。前半は予想通りの展開だったが、後半は相手の猛反撃に遭うと3点を奪われ、試合をひっくり返された。

昨年の関東大会、山梨県・玉穂FCのカウンター2発で敗れている。この日のHBO東京も少ないチャンスを猛然と掴みに来たが、早稲田ユナイテッドはこういう相手にあまり相性が良くない。現時点で見えている課題は、守備における『個』の強化。この日の失点も「何でもないパスを通されている」と今矢監督は話す。

都リーグ制覇そして、関東リーグ昇格に向けて、一人ひとりがいかに守備で踏ん張れるかが鍵になりそうだ。 「どれくらいのレベルに達すれば、関東に昇格出来るか。僕自身の中ではだいたい把握出来ています」 昇格こそならなかったが、昨年に関東大会を経験した事で発見もあったようだ。指揮官の要求レベルもこれから上がっていくはず。これに選手達が覚悟を持って臨めるか。早稲田ユナイテッドの真価が問われる。

(了)

◆前後のページ | 1 2 |