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#21 史上初のJ2・JFL入れ替え戦で見えたもの

このように鳥取や讃岐といった小さなクラブにとっては、護送船団方式と揶揄される「Jリーグ分配金」や、人気チームが連れてくる「新規観客からのチケット収益」が直接クラブ経営に影響する、クラブの存続を左右する、という悲しい現状にある。北野監督も会見で『 これで四国ダービーができる、岡山と戦える。香川県にサッカーの魅力を伝えられる 』という辺りを強調していた。

しかし言い換えれば、それらがもたらす恩恵が無ければ、カマタマーレ讃岐というチームは「香川県民に受け容れられることが無い」という非常に残念な言葉にも聞こえる。ガイナーレ鳥取にしても、試合後、サポーターからは監督ではなく社長の責任を追及する罵声が多く聞こえた。本来であれば、試合結果やチーム成績の責任をとるのは監督や強化責任者であり、社長では無いないはずであるが、鳥取サポーターの怒りが、社長に向けられているあたりに、鳥取が抱える問題点が隠されている気がしてならない。

これらから、両クラブにとって2014年というシーズンは「試練の年」でもあれば、今後のチームの行方を左右する「新しく輝かしい未来へのスタートの年」でもあると言えよう。また、それは両クラブのサポーターにも問われる事で、これまでの殻を打ち破り、新しく輝かしい未来あるチームを作る為に、サポーターとクラブが「ともに協力して歩んでいく」必要があるのではないか。

JFLの存在価値

Jリーグは2014年から、J1、J2の下にJ3という新たなカテゴリーを設定することを決定した。それに伴い、これまで3部リーグの役割を果たしてきたJFLは、実質4部リーグとなる。今季JFLに所属していたチームの大半も新たにスタートするJ3に戦いの場を移す。既存の(来季も残る)JFLファンからすると、怒りを露わにしたくなるような決定だが、今回の入れ替え戦の結果から見ても、「JFLと各所属クラブの存在は、日本サッカー界の強化に大きな貢献をしてきた」と解釈できる。

また試合後の北野監督の会見で『 JFLとJ2下位チームを比較すると、JFLは、各チーム監督さんが毎試合、様々な工夫をこらし相手を研究し、いろいろな事をしてくる。それに対して、J2は自分が見た限りでは「シンプルにやっているな」というイメージがある。今年は、町田というJ2を経験したチームが降りてきたが、大きな差は無いと感じていた。ただ今年、開幕時にJ2に昇格できる可能性があったチームは讃岐と町田だけだったのでプレッシャーはあったし、それを勝ち抜けたことが自信に繋がった 』と話しており、今年のJFLのレベルは「決してJ2に劣っていることは無い」「そんな中で戦ってきたんだ」という自信とプライドを感じることができた。

来シーズン、J2を戦うカマタマーレ讃岐、J3を戦うガイナーレ鳥取が、どのような歩みを見せるのか。J2・J3クラブ関係者・ファンのみならず、JFLクラブ関係者・ファンにとって、重要な意味を持っている。

(了)

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