#21 史上初のJ2・JFL入れ替え戦で見えたもの
フットボールに関する様々なイシューをコラムで綴る「FOOT ISSUE」
第21回コラムは、史上初となったJ2とJFLの入れ替え戦を取り上げたい。今季FC町田ゼルビアが挑んだJ2昇格の道。その道を進んだのはカマタマーレ讃岐に変わったが、果たして3部と2部の入れ替え戦とは当該クラブに何をもたらすのか? 2014シーズンのJ3とJFLを見据えてピックアップしておきたい。
史上初そして“最初で最後の”J2・JFL入れ替え戦
2013年12月8日、J2・ガイナーレ鳥取とJFL・カマタマーレ讃岐によるJ2・JFL入れ替え戦 第2戦目が行われた。来年のJ3創設により、J2最下位チームとJFL2チームによる入れ替え戦は今回が最初で最後となる。両クラブ命運を分ける2戦目は、ガイナーレのホーム・鳥取県とりぎんバードスタジアムで行われ、1-0(2戦合計2-1)で讃岐が勝利し、J2昇格を決めた。
J2を欲するわけ
この両チームが競いあったJ2クラブ22番目の椅子。それはクラブの存続をかけた戦いとも言えただろう。入れ替え戦・第2戦後の記者会見で、カマタマーレ・北野監督は『 世間的には試合に対するプッシャーという面で、鳥取と讃岐では失うものが多い鳥取の方が、讃岐より受けるプレッシャーが大きいと言われていたが、それは違う。この試合に負けていたら、讃岐はクラブの存続の危機に瀕していた可能性がある 』という趣旨のコメントをしていた。
2013シーズンの時点で、讃岐は債務超過が7300万円。J2昇格の承認を得る為に、資本金などに6800万円を増資した。出資したのは香川県と高松市の2自治体のほか、タダノ、百十四銀行、JR四国などの県内の計11事業所。また最終的には、年内に計1億円の増資を見込んでいた。北野監督のコメントのみから推測すると、これらの増資の中には「J2への昇格」が条件となっているものも含まれていた可能性があり、JFLあるいはJ3に終わっていた場合は、債務超過にてクラブ自体の存続が危ぶまれていた可能性が高い。
一方、ガイナーレ鳥取もJ2クラブではあるが、地理的条件などから非常に厳しい条件下でのクラブ運営を強いられてきている。今シーズンの観客動員数こそ一定の成果をあげているが、それはキングカズ(三浦和良・横浜FC所属)や遠藤保仁(日本代表、ガンバ大阪所属)などのスター選手が所属しているクラブとの対戦に限った話である。このような“スター選手”のいないJ3クラブとの戦いで、どれだけの観客動員を見込めるかは未知数である。