『町田でお待ちだ!』 第7回 FC町田ゼルビアが2013年シーズンから学ぶべきこと
第7回(最終回) FC町田ゼルビアが2013年シーズンから学ぶべきこと
長野と町田の違いは?
FC町田ゼルビアは順位を4位に落として、最後のJFLを終えた。1年間の戦績は18勝7分け8敗。
残った勝点差は首位・長野と「11」、2位・讃岐とは「7」だった。J2復帰を最低目標としていた町田にとって、受け入れられる結果ではない。2011年までなら4位はJ2昇格圏内だが、J2の定数が埋まった今はもちろん話が違う。シーズン前の目指すところは自動昇格が認められる1位、悪くても入替戦に進める2位だった。
2013年の課題を指摘することは、それほど難しくないだろう。“個”を見れば、町田は十分に優勝へ絡める戦力を擁していたはずだ。しかし長野戦は0勝2敗で、0-4、1-5というスコアほどでないにせよ、大きな差を見せつけられた。キャプテンの太田康介はこの2試合でプレーをしていないが「やろうとしていることが長野は明確だった」と指摘する。
確かに長野の狙いは明確だったが、ワンパターンな戦いをしていた訳ではない。「チームに深みを作る」(美濃部直彦監督)という狙いを持ち、[4-3-3]、[4-4-2]、[3-4-3]と複数の布陣を使い分けていた。どの形でもサイド攻撃は長野の大きな強みだったが、それを可能にしたのがユニット、グループの連携である。10月20日の町田戦(長野5○1町田)を終えた美濃部監督は、自チームのサイド攻撃についてこう語っている。「そういうトレーニングを積んできて、(スペースに)入るタイミングが良くなってきた。中に人数を大分掛けられた」(美濃部監督)。長野は狭いスペースでボールを動かすための組織--、選手同士の距離感、動きの角度とタイミングを丁寧に作り上げていた。ただボールを回すだけでなく、3人目4人目が走り込んで数的優位を作り、スペースに抜け出す。そういう形が明確だった。
翻って町田はどうだったか?秋田豊前監督と楠瀬直木監督代行の目指すサッカーは、明らかに別物だったし、最後まで“町田のサッカー”が見えなかった。試合後の会見で、私は相手監督に何度か“町田の印象”を訊ねている。一番多かったのは「選手の質が素晴らしい」という趣旨だ。意を汲むなら“内容なら自分たちも負けていない”という意味だし、更に言えば婉曲な否定という含みがある。讃岐の北野誠監督は、10月27日の戦い(町田 2○1 讃岐)を終えて町田をこう評した。「長野とか相模原はある程度読めたけれど、町田は自由にやってくるので難しかった。印象としては個の力が凄いなというところです」(北野監督)。町田は個人任せの部分が大きく、“チームの特徴が見えない”ということだ。