『町田でお待ちだ!』 第5回 決戦は12月8日!? ゼルビアが挑むJ2への12試合
第5回 決戦は12月8日!? ゼルビアが挑むJ2への12試合
ターゲットは打倒J2
「2位以内を目標にやっている」と指揮官は言い切った。
JFLは24節を終え、残りが10試合。FC町田ゼルビアは現在3位で、2位・AC長野パルセイロと5ポイント、首位・カマタマーレ讃岐と7ポイントの勝点差がある。目標なのだから“優勝”と口にしてもいい。楠瀬直木監督代行があえて2位に言及する理由は、自らが挑む大一番のイメージを、より明確にするためだろう。運よく優勝し、自動昇格できればそれに越したことはない。しかし、入替戦も含めた12試合を戦い抜き、J2クラブを倒す覚悟を持たせる事は“そうなった時”に活きる。そのためのキーワードが「2位」だ。
「J2の試合も見るだろうけど、そうすれば上を意識した基準を持たねばならないと気付くはず」と楠瀬監督代行は選手に期待する。彼が選手に「意識付けしている」のは“J2基準”だ。12月上旬の入替戦でJ2クラブを上回り、上のカテゴリーで来季を戦うためには「ドカドカ蹴って勝てば良い、というサッカーで持つわけがない」(楠瀬)。そこを踏まえた上で、9月14日からのJFL再開がある。
指揮官はサッカーの理を諄々と説く。サッカーは「前にボールを動かさないとやられちゃう」スポーツである。而して「前にボールを運ぼうとすると、相手が止めようとする。だからその準備、仕込みの動きがある」。重要になるのは「中間ポジションを取るタイミング、相手を剥がすタイミング」だ。そういうベース作りは6月末の就任から彼が重視してきた部分で、8月11日から1か月に及んだ中断期間中も不変。楠瀬は「失う回数がまだ多い」と釘を刺しつつ、「だんだん点の取り方が良くなってきた。綺麗になってきたし、3人目が意図的に絡む場面、崩せる場面も増えている」と手応えを口にする。
新戦力7名への疑問
“七人の侍”とでも名付ければ頼もしそうに感じられるかもしれない。楠瀬は強化部長として、早くから「終盤戦は数の勝負になる」と語っていた。移籍が解禁される夏場には、昇格のライバルである讃岐も3選手を獲得している。しかし7名という数は明らかに異例だ。
皮切りは7月10日に東京Vからの期限付き移籍が発表されたFW杉本竜士、FW南秀仁だった。その後もMF日高慶太、FW神村奨、DFペデウォン、FW白谷建人、FWテレと続き、計7選手の加入が発表されている。このうち何人かは再開後のリーグ戦でも起用されるだろう。8月28日のトレーニングマッチ(vs東洋大)では、7名中4人がスタメン組でプレーした。
「そんなに獲って意味があるのか?」「FWに偏り過ぎていないか?」「お金の無駄ではないか?」
7名の補強について、少なからぬ批判、疑問を耳目にした。楠瀬に問うと、まず「移籍できる時期は限られている」というウィンドウの制約を口にする。確かに町田にとっては「J2に上がることが使命」であり「ケガ人が出て、それで勝点を落としたら本末転倒」(楠瀬)という前提がある。昇格の為、勝点を落とさない為に補強が必要だった。選手が増えれば、試合から外れて悔しい思いをする選手は出る。しかし昇格ができなければ、選手全員、サポーター全員が悔しい思いをすることになるのだ。