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TOKYO DECADE(後編) ~これまでの10年、これからの10年~

その中で、アマチュアクラブであっても将来のプロクラブ化を視野に入れ、都リーグや関東リーグからステップアップを目指すクラブが増えてきている。それに呼応するかのように、支える人・街・企業にも広がりを見せている。それぞれの街や人やクラブが、同じ東京であっても独自の”色”を打ち出し、チームを強く・大きくしようと努力している。

この多種多様な価値観を持ったサッカークラブが数多く存在している事は、これから起こるであろう”東京の地殻変動”の発信源となるだろう。そう予感させるクラブが既に都内各地に複数存在している。この10年間というよりも、ここ数年間で急激に活性化した感のある”地域リーグ”の波が、東京にも訪れているのではないか? そう思わせる光景が、東京のあちらこちらで見られるようになった。

東京という都市のポテンシャル

日本サッカー協会が発表している東京都の2010年度JFA選手登録数は8万3136人(第1種からシニアまで全カテゴリーの合計人数)。各都道府県の中でも最大の競技人口である事が、東京サッカーの裾野の広さと、更に発展する可能性を示していると思う。選手以外にも監督やコーチ、クラブ経営者やスタッフ、ファン・サポーターや後援会の人達、などサッカークラブに携わっている人も含めれば、東京の”サッカー人口”は20~30万人規模にはなるだろう。

既に東京が”サッカーどころ”である事は数字上では示されているが、埼玉や静岡と比べるとそのイメージはまだまだ弱い。東京というと日本の政治・経済の中心地、あるいは国際都市というイメージが強いだろうが、サッカーにおいてもポテンシャルの高さは充分にあるはずだ。1300万人が暮らす東京が、サッカーの盛んな街になる。サッカーでも世界に名が轟く都市になる事は、決して現実離れした話ではないだろう。

東京に生まれ、住み、暮らしているサッカー好きにしてみれば、「地元にあるクラブがマイクラブだ」という気持ちは、誰の心にもあるものだ。決して地方都市だけの話でなく、東京にも”ローカル色”は存在する。遠くの○○より近くの△△をサポートしたい、と思うのが自然だろう。それがより細分化され、既存のJクラブではない、「今は小さなクラブでも地元のクラブとして応援したい」という流れは進むのではないか。

言い方を替えれば東京のサッカークラブが”ALL東京”というスローガンでは、もはや都民の心を掴む事が出来ないのではないか。何かしらの地域性やアイデンティティを地元サッカークラブに求めている人達が増えてきているのではないか、と筆者は感じている。

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