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第4回 なでしこを見る

史上空前の人気ぶり

京王線の稲城駅からバスで約10分。稲城中央公園で下車すると、眼前にくじら橋が横たわる。緩やかな曲線がくじらの胴体を思わせる美しい橋だ。

10月15日、稲城中央公園総合グラウンドでプレナスなでしこリーグ2011の第13節があった。2位の日テレ・ベレーザと、6位のジェフユナイテッド市原・千葉レディースの対戦。今季のなでしこリーグは東京電力女子サッカー部マリーゼが震災の影響で休部し、9チームで行われている。

この日は有料試合として開催し、チケットはメインスタンド1000円、芝生スタンド500円。私はメインスタンドのチケットを買い求め、中に入った。キックオフ10分前、席は8割方埋まっている。今夏、FIFA女子ワールドカップで日本代表が優勝し、人気が大爆発。女子サッカー界は史上空前の活況を呈している。聞くところによれば、さまざまなメディアからの問い合わせは、兄貴分の東京ヴェルディよりベレーザのほうが圧倒的に多いそうだ。

雨上がりのピッチに両チームが整列する。ベレーザには日本代表の岩清水梓、永里亜紗乃、ロンドンオリンピック予選は故障によりメンバーを外れた岩渕真奈がいる。一方、ジェフレディースの丸山桂里奈はリハビリ中とのことで姿がなかった。

先制したのはベレーザだった。13分、コーナーキックから岩渕がゴールを決める。さらに31分、 伊藤香菜子のミドルシュートをゴールキーパーがこぼし、岩渕がプッシュして2点目。ベレーザがゲームを完全に支配し、力の差はかなり大きいように思われた。

ベレーザはボランチの原菜摘子が攻撃をコントロールしていた。相手の逆を取る動き、意表を突くパスにこだわりを感じさせる選手だ。また、右サイドハーフに位置する木龍七瀬のドリブル突破も効いていた。左足のボールタッチに独特のリズムがあり、中へと切り込み好機を演出する。

ワンツーやスルーパスなどのパスワークに、ドリブルを織り交ぜたベレーザのサッカーは、読売クラブ時代から受け継がれるこのクラブのサッカーだ。プレーに明確な意図があり、駆け引きで相手を出し抜く面白さは、男子と同様に快感である。

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