TOP>>レポート>>MATCH OF THE WEEK>> #25 3/20 ACL予選リーグ 第2節 FC東京 vs 蔚山現代
matchreport

#25 3/20 ACL予選リーグ 第2節 FC東京 vs 蔚山現代

ポポビッチ監督「試合内容自体は決して悲観するものではなかった。」

FC東京の攻勢は、相手にとっても圧力になっていたことは確かなようで、今季、マジョルカから蔚山現代に移籍したMF家長昭博もこのように語っている。 「主導権を握れる時間をもっと作りたかった。僕たちはカウンターが多いチームだけど、やりたいことがうまくいっていなかったです。」

その好循環が突如暗転したのは後半35分だった。蔚山現代・GKキム・ヨングアンのロビングを、上がっていたDFカン・ミンスにヘディングですらされる。それに反応したFWマラニョン(昨シーズン東京V所属)はオフサイドに見える位置にいたが、ホイッスルはならず。マラニョンがFC東京・GK権田修一と1対1になったところで、横にパスを流すとMFキム・スンヨン(昨シーズンG大阪所属)にゴールへと流し込まれてしまった。これで1-1。

それでも、3分後にはFC東京の狙い通りの形でゴールをこじ開ける。ペナルティエリア手前中央でボールを受けた長谷川がドリブルで突進し、ポジションを中央に取った石川にパス。それを石川が素早くリターンすると、長谷川は左サイドのMF羽生直剛へ。羽生が中央に折り返したところに、梶山が走り込んで右足で強烈なシュートをたたき込んだ。

「羽生さんは見ていると思った(梶山)」、「苦しい中で、狙い通りの形で点を取れた(石川)」と、チーム全体がイメージを共有した中で生まれたゴール。2-1となり、後はゲームをクローズすればいいだけだった。

しかし冒頭の指揮官の言葉通り、発展途上のチームはシンプルなタスクをこなせなかった。88分、相手右サイド5番のDFクァク・テヒの単純な逆サイドへのロングパスに対して、FC東京の最終ラインは集中を欠いて、マラニョンに裏を取られてしまう。GK権田がやや焦り気味に前に出たところをあざ笑うループシュートで、同点とされてしまった。結局、スコアは2-2のままタイムアップを迎え、悔しさの残る勝ち点1となった。

「正直言って、試合前は勝ちたいと思っていた試合でした。しかし、今日の90分の経過を踏まえてみれば、引き分けという結果でOKだと思います」とは、蔚山現代のキム・ホゴン監督の言葉だ。一方のポポヴィッチ監督は「敗戦したような気分なので、実際の結果はドローですが『負けた』と表現させてもらいます。チームとして勝つことを信じてプレーできなかった」と、おかんむりの表情だった。

ただ、最後方からチームを見つめた権田が「ここまで、行き当たりばったりやラッキーで入っているゴールはない。そこは自信を持っていいところだと思います。そういった崩していく場面を増やしていければ。」と語るなど、攻撃面に関してはチーム全体がある程度手ごたえを感じている。

指揮官も「試合内容自体は決して悲観するものではなかった。」と語っている。それ以上に、気にしている面がある。

「過密日程に関しても、フィジカルではなくて頭の疲れが怖い。頭が働くことをやめると、体が動かなくなるのですから。」

2失点目は頭が働かなかったゆえ、起きた事故ともいえる。失った“勝ち点2”を今後の糧として勉強料にできるか。チーム全体の成長が求められる。

(了)

(取材・文 佐藤匠司)

◆前後のページ | 1 2 |