#22 3/11 J2 第2節 FC町田ゼルビア&東京ヴェルディ ホームゲーム2試合レポート

『東京偉蹴的 MATCH OF THE WEEK』 #22

3/11（日）16時　味の素スタジアム
2012 Jリーグ ディビジョン2 第2節　東京ヴェルディ 1-2 ヴァンフォーレ甲府

『攻撃がハマったヴァンフォーレ、ハマりきらなかったヴェルディ』

互いにJ1昇格候補クラブに挙げられ、ボールを大事にしたサッカーを標榜する両チーム。これは面白い試合になる、と思った方も多いのではないか。前半は、まさにそんな試合だった。先手を取ったのは東京ヴェルディ。14分、FW阿部拓馬がペナルティエリア内でPKを獲得する。MF小林祐希がボールをセットし、左足でゴール右を狙うが、相手GKに防がれる。だが、こぼれ球を自ら蹴りこんでネットを揺らした。

キャプテンのゴールでヴェルディが流れに乗るかと思われたが、ヴァンフォーレ甲府もすぐさま同点に追い付く。17分、CKからFWダヴィが頭でコースを変え、ゴールを奪った。チャンスとピンチが交互に訪れる。20分、小林の直接FKがわずかにゴール右に逸れる。4分後には、DF土屋征夫のミスからダヴィにドリブルでゴールに迫られるも、戻った土屋がミスを挽回するかのようにブロックした。

次の決定機はヴェルディ。26分、ゴール前での細かい繋ぎから、ペナルティエリア右のMF西紀寛へラストパス。シュートは得点にならなかったが、相手守備陣を揺さぶりながら作った、見事な場面だった。ところがその後、ヴェルディにアクシデントが襲う。MF中後雅喜が負傷によりピッチを去ってしまう。正確なサイドチェンジで攻撃に幅を生み出していただけに、残念な交代となった。

センターバックだったDF高橋祥平がボランチへ上がり、代わって入ったDF深津康太が最終ラインに入った。その深津がゴールを守る。41分、ダヴィに持ち込まれ、土屋がかわされシュートを浴びるも、深津がスライディングでクリアし事なきを得た。

3バックに変更し、前線の枚数を増やしたが…

前半は、両チーム共にゴール前まで攻め込み、スリリングなゲームが展開された。ただ、後半に入ると、ヴェルディが守備に回る時間が増えていく。トップまでボールが渡らず、攻撃の糸口が掴めなくなる。すると、ヴァンフォーレが逆転のゴールを決める。後半15分、CKをヴェルディ・GK柴崎貴広がキャッチしたかに見えたがファンブル。こぼれたボールをDF佐々木翔が押し込んだ。その後もヴァンフォーレのパスは繋がるが、ヴェルディは攻めに転じることができない。26分、DF森勇介に代えて、MFアレックスを投入する。3バックにし、攻撃に人数をかけたが、状況を打開することができない。

そして35分、ヴァンフォーレが試合を決める。MF柏好文がヴェルディの左サイドを完璧に崩し、マイナスのパスを送る。ペナルティエリア手前からダイレクトでシュートを打ったのは途中出場の片桐淳至。左足アウトサイドにかけられたボールは、シュート回転しながらゴール左へ決まった。2点差をつけられ、後がなくなったヴェルディは、なんとかゴールを奪おうと反撃に出る。

40分、中央でワンツーを受けた小林が左足アウトサイドでループ気味に狙うも、後一歩の所で相手GKが掻き出した。ゴールを外れたとわかった瞬間、小林は真っ先にコーナースポットに向かった。最後まで勝利を諦めない姿勢を見せたが、試合はそのまま終了。ゴール裏のサポーターからはブーイングが起こった。ヴェルディは2連勝を飾ることができなかった。

ヴェルディは相手との打ち合いに敗れた。後半は前線ボールが渡る回数が少なく、中盤の繋ぎの段階で奪われてカウンターを浴びた。ただヴェルディは、敢えて密集の中をパスで崩すというサッカーを目指している。川勝良一監督は開幕前、「見ている人が偶然だと思うことも、こっちにとってはノーマルというサッカーをやる」と話していた。相手が陣取る地帯を崩すのは、難しい作業だ。この日もそこがうまくいかずにカウンターを浴びた。しかし、チャンスも作った。細かいパスをポンポンと繋いでゴールを狙う場面もあった。突き詰めていけば、素晴らしい攻撃が生まれるはずだ。完成とは言えないが、まだ開幕して2試合目。悲観する必要はない。

（了）