#21 3/10 J1 開幕戦 大宮アルディージャ vs FC東京
『東京偉蹴的 MATCH OF THE WEEK』 #21
J1開幕! FC東京、後半の逆襲劇でリーグ開幕戦を制す
3/10(土)19時 NACK5スタジアム大宮
2012 Jリーグ ディビジョン1 第1節 大宮アルディージャ 0-1 FC東京
日本各地でJ1リーグ戦が開幕した3月10日(土)、FC東京はアウェイ・NACK5スタジアム大宮で大宮アルディージャと対戦した。前半は自分達のミスでバタついた試合となったFC東京だったが、後半16分にルーカスの鮮やかなボレーシュートが決勝点となり1-0で勝利。リーグ開幕戦で勝点3を挙げた。
キックオフ前には、明日3月11日で発生から1年となる東日本大震災の被災者に向けた黙祷が行われた。黙祷が終わると、東京サポーターからは「ニッポン!ニッポン!」コールが起こる。それに呼応して大宮サポーターからも「ニッポン!」コールが起こった。
最終ラインが混乱した序盤
前半は、FC東京の最終ラインが混乱に陥る場面が多く目立った。開始直後の21秒、最終ラインのビルドアップをいきなり奪われて、GK権田修一との1対1の状況を作られてしまう。権田は落ち着いてシュートコースを見切り、ビッグセーブで難を逃れたが、ここからゲームの主導権を大宮に握られる。相手1トップのFWラファエルのDecoy run(デコイ ラン)を利用し、2列目が飛び出してくる大宮の攻撃に対して、完全に後手に回ってしまう。
22分には、この日最大のピンチが訪れた。トップ下に入っていた大宮・MF東慶悟に、FC東京・DF太田宏介の裏を突かれてクロスを許すと、中央に飛び込んできたMFチョ・ヨンチョルに合わせられる。それを権田が弾くと、チョ・ヨンチョルが再び詰めたシュートを再び足で弾くというビッグセーブを見せる。28分にはビルドアップのミスから押し込まれる。ガンバ大阪から大宮に移籍してきたDF下平匠にグラウンダーのクロスを入れられ、ラファエルにスライディングシュートを放たれる。シュートはわずかに枠外を外れ、FC東京としては命拾いする展開となった。
その後、30分以降はボランチに入っていたMF梶山陽平とトップ下のMF長谷川アーリアジャスールのポジションを流れの中で替え、チームの活性化を図ると、徐々に攻撃のパターンができ始める。決定的な形は作れなかったものの、0-0で前半を折り返した。
後半に一転、アグレッシブな攻撃に
「前半、集中できていない。後半は最初から集中しよう!」
ハーフタイムにロッカールームでポポヴィッチ監督が入れた檄が効いたのか、後半に入るとFC東京イレブンは前半とはまるで別チームのような攻勢を展開する。後半開始直後の1分、中央の梶山から右サイドのオープンスペースを突いたDF徳永悠平がフリーでシュート。大宮・GK北野貴之に正面でセーブされたが、ここから一気に流れを引き寄せる。
トップ下にポジションを替えた梶山が、最前線のFWルーカスと短い距離感を取ることで、アタックに勢いが生まれる。7分には2人の細かいパスワークから梶山が開いたボールを、MF高橋秀人が受けてミドルシュートを放つ。ボールはゴールわずか右に外れた。13分には逆襲を食らい、チョ・ヨンチョルに左サイドを突破され、中央に折り返したボールを詰められたが、またしても権田が体に当て、DF加賀健一がゴールライン手前で間一髪クリアし、チームの流れを断ち切らなかった。
すると16分、歓喜のシーンが訪れる。直前の11分にMF谷澤達也と交代して途中出場したMF石川直宏が右サイドで起点となり、中央の梶山へとパス。ペナルティエリア外の狭い局面の中で、長谷川と梶山のワンタッチパスから、ペナルティボックス左で待つルーカスの元へ。バウンドして浮いた難しいボールを、ルーカスが右足ボレーで叩く。鮮やかな弧を描いたボールはゴール右隅に突き刺さり、FC東京が先制点を奪い取った。
先制点を奪って以降も、FC東京のアグレッシブな姿勢は衰えを見せず、大宮を運動量で圧倒する。守備陣もスペースの裏を怖がらず、積極的にラインを高く置いた。38分、大宮にサイドを崩され、ゴール前の混戦からゴールネットを揺らされたが、直前のハンドの判定でノーゴール。このシーン以外に決定的なシーンを作らせなかったFC東京が、前半の内容には不満が残るものの、J1復帰を果たしたリーグ開幕戦で勝利を収めた。
(了)
(試合後のFC東京の監督・選手コメントは2ページ目に続く)