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#2 『東京クラシック』 あるDFの悔恨と矜持

痛恨の失点も前半の堅守に納得

そんな中、勝利の充実感と同時に、一抹の悔しさをにじませた選手が、1人いた。

再び、DF深津康太である。

「アイツのプレースタイルを知っていたので、まさかあそこで打ってくるとは……といった感じでした。」

後半15分のことである。

町田DF太田康介の斜め前方への縦パスが、途中出場のFW北井佑季に入る。背番号19の持ち味は切れ味鋭いドリブルということが、町田に2年間所属した深津の脳内にインプットされていた。

「運んでくると思ったんですよね。足出そうと思えば出せたんですが……。」

北井のけれん味のないシュートはゴールネットに突き刺さり、同点を許してしまった。

相手を知りすぎたからこそ、起きてしまった失点だったともいえる。その失点シーンについて語る深津の表情は、悔しさをにじませたものだった。

しかし、課題ばかりだったわけではない。

「(劣勢だった前半も)後ろとしては落ち着いて入れていました。ガッツリ行くところは行けたし、慌てないでできていたと思います。」

1失点に絡んでしまったものの、チームは勝ち点3を挙げ、現時点で2位に浮上した。深津自身も3試合連続フル出場を果たし、レギュラーの座を掴みつつある。

町田と東京Vの2チームを経験した彼だからこそ、この一戦で得た課題と手応えは人一倍大きいのかもしれない。次戦の『東京クラシック』は10月7日。深津はその試合でも町田のアタックに立ちはだかる存在として、成長を続けられるか。

(了)

(取材・文 佐藤匠司)

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