第1回 東京とサッカーと人 (1/2)
都会から離れて
本サイトの立ち上げにあたって、「東京のサッカーを幅広く扱うコラムをよろしくね」との依頼を編集部から受け、書き始める。正直に申し上げて、私がその役に適しているとは思わない。なにせ九州は福岡育ちの田舎者である。大学生になって上京したが、そこも東京ではなく埼玉県だ。実際、都民となったのは1999年、結婚を機に江戸川区の葛西に引っ越してからである。言っちゃなんだが、東京感はあまりない街だ。
現在は都西部に位置する立川市で暮らしている。ここもバリバリの東京とは違う。私自身は大変気に入っているからいいのだけど、東京感が希薄という自覚はある。やはり、"ザ・東京"は台東区や新宿区などの23区のそのまた一部になるのだろう。要するに、おおざっぱに数えて10年ちょいの東京キャリアで、さらに地域的な理由もあり、都会の生活習慣が血肉化された人間とはほど遠い。
友人に、生まれてこの方、生活圏において世田谷区を出たことがないという人がいる。彼はいかにも都会的なサッカーファンという感じで、立ち居振る舞いが実にスマートだ。サッカーに関しては人並み外れてアツい。でも、がっついていない。野暮ったさ、泥臭さがない。視線は海を越え、誰から頼まれたわけでもないのに世界地図の中の東京を意識している。
人ぞれぞれ思い浮かべる像があるだろう。私の場合はパッと浮かんだのが彼だった。偏った見方であるのは認める。そもそも、都民の多くは地方出身者の集まりと言われるように、生粋の東京人を代表例とするのはむつかしい気もする。また、自分と並び立て、どっちが上等かという話ではない。違うものは違う。ただ、それだけだ。
自己紹介ついでに、もうひとつ。私は東京ヴェルディを応援しているライターだ。自然、ここでマイクラブのトピックスを取り上げる機会は多くなる。それと正反対の理由で、FC東京のことはどうしても気になるから、折に触れて書くことになるだろう。
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